トラクターとは?

メーカーの一押しモデルと種類

農業にかかる時間や労力を大幅に削減することができる農業機械(農機)にはそれぞれ用途やメリットがあります。

種類によって作業効率が大幅に変わりますので、ニーズに合った物を選ぶことが大切です。

しかし、農業をこれから始めてみたい人たちにとって、各種農機の役割や特徴は分かりづらいかと思います。
では、代表的な農機の「トラクター」の役割や種類、主要メーカーの一押しモデルなど、まとめて紹介します。

「トラクター」とは?

トラクターとは、人の力では動かせない物や多くの人手が必要な物を動かすための牽引(けんいん)車です。農機が無いころは、牛や馬などの家畜がその役目を果たしていました。
農作物を育て始めてから収穫するまでには、「土を耕して肥料を施し」たり、「種をまき」したり、「雑草を取る」などしたり、とさまざまな工程がありますが、全てを人の手で行うには多大な労力が必要となります。現代の農業において、トラクターはなくてはならない農機の一つといえるでしょう。

トラクターの構造

トラクターは、高出力のエンジンを搭載し、前方に機体のバランスをとるためのウエートがあります。作業に合わせて、後方にさまざまな機械を取り付けることで農作業を行います。
一般的に、トラクターは四輪駆動車が主流ですが、ほかにも二輪や、起動輪や転輪が一帯に接続された「履帯式(りたいしき)」など、さまざまなタイプがあります。

トラクターでできる作業

トラクターは、土壌づくりや肥料・農薬・種の散布、草刈り、収穫した物を運搬するなど、取り付けるアタッチメントによってできる作業が変わります。アタッチメントは、主に下記のようなものがあります。

  • ハロー: 田水面を均平に整える
  • ロータリー:土を平らに耕して苗を植えられる状態にする
  • 畝(うね)立て機:水はけを良くするために土を盛り上げて作る畝を立てる
  • トレーラー:重い物を運ぶ
15馬力以下の小型のトラクターは、アタッチメントをつける部分の規格が「2点リンク」の物が多く、取り付けられるアタッチメントの種類も少なくなります。
トラクターをさまざまな用途で使いたい場合は、アタッチメントをつける部分の規格が「3点リンク」の、高馬力の機種を選ぶのがおすすめです。

また、耕作する土地の土質によっても必要な馬力は異なります。粘土質の土壌の場合は馬力が必要となり、パワーが不足しているとエンストを起こしてしまう可能性があるため注意が必要です。

この場合、スムーズに作業するためには、最低でも25馬力以上のトラクターが良いでしょう。

トラクター生産主要メーカー

トラクターを生産している主要なメーカーには、「井関農機(イセキ)」「クボタ」「三菱マヒンドラ農機」「ヤンマー」などがあります。それぞれのメーカーの特徴を簡単に紹介しておきましょう。
どのメーカーも、どんな土壌にも対応しやすい25~35馬力クラスのトラクターが人気となっています。
ここでは、主要メーカーそれぞれの人気シリーズの中から、30馬力以上のトラクターの一押しモデルを紹介します。

井関農機(イセキ)

1926年創業の老舗の農業機械の総合専業メーカー。充実した基本性能ながら機能を厳選したシンプル・低価格仕様のトラクターから先端技術を活用したトラクターまで幅広いニーズにあわせたラインアップを展開。2018年度内には、有人監視型ロボットトラクターの商品化を予定しています。


トラクターの一押しモデル

「T.Japan」TJV・TJWシリーズ

「デザイン・パワー・居住性・操作性」すべてにこだわった新型トラクター。ICTやGPSを活用した作業管理や機械稼働状況、盗難防止機能を装備。ISOBUSにも対応しています(TJWシリーズC型式)。

クボタ

国内最大手で世界でも有数の農機メーカー・クボタ。10.5馬力から170馬力まで幅広いトラクターをラインアップ。GPSを利用したオートステアリング(自動操舵)機能を搭載するなど高機能なモデルを提供する一方で、高い基本性能を備えながら機能を絞り込んだシンプル設計で低価格を実現したモデルを発売。日本農業の生産向上に貢献する機種の開発を進めています。


トラクターの一押しモデル

「WORLD −Special Edition−」

「シンプル&低価格」をコンセプトに、ラインアップ拡充を進めるグローバル戦略機『ワールドシリーズトラクタ』第五弾。担い手農家のニーズに応え、倍速ターンとモンロー(水平制御)を装備した特別仕様として新登場しています。

三菱マヒンドラ農機

1914年創業の三菱農機にトラクター生産台数世界トップのマヒンドラ&マヒンドラ社が資本参加した国内唯一の外資系メーカー。グローバルな視点での技術開発に取り組んでいます。2018年1月には機械の稼働状況やコストを見える化できるサービスを始めるなど、農業の効率化に向けた技術開発にも力を入れています。


トラクターの一押しモデル

「GCRシリーズ GCR1380」

国内最大のフルクローラトラクタ。クローラトラクタならではの抜群の牽引力と低接地圧で、水田から畑作まで幅広い作業で強みを発揮します。また、保証期間が長く安心して使用できます。

ヤンマー

1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功し、商品・サービス・ノウハウを融合したトータルソリューションを提供する総合産業機械メーカー。近年では無人運転のロボットトラクターや、最小限の操作を有人で行い、経験や勘に頼っていた高精度な作業を自動化して省力化を実現するオートトラクターなどのラインアップを強化しています。 


トラクターの一押しモデル

「YTトラクター」

19~113馬力で展開する「YTトラクター」は、そのデザイン性だけでなく、快適な居住環境と作業性・操作性を両立し、様々な規模の農家に対応します。さらにYT4/5シリーズではオート・ロボット仕様もラインアップしています。